須磨の浦 大悦五人組

若気の至りで、こんな風紀紊乱きわまりない女性文学グループを発想したことがあった。筆頭は 草井梅子、河津留美、手賀郁代、(一名逸名)取り締まりは九條畏怖(くでういふ)子だった。ちなみに同人誌も発行していて『栗と木鼠』といいます。みなさん、読んだとおりいたらご免な名前だが、取り締まりの方にはモデルがあった。
当時見つけた昭和初期の袖珍本で『無憂華』の作者、九條武子だった。抹香臭いといったら言いすぎかもしれないが、当時の自分にとっては鼻持ちならないお上品な作風に思えたのである。そんなオチョクリの因果か、お籠もり先がその方の創立された、前科がばれれば蹴り出されそうな施設なのであった。なにしろ関東大震災の折の深川の大被害の際に創立されたという由緒ある施設なのである。
食後の階段登りの運動で、最上階へ至ると立派な厨子があって、その方の大理石像を中心に、左右を怖いおばさまに囲まれた礼拝所が待っているのだ。お籠もり所は、三食頂く健常食がバラエティに富んでいて、結構楽しみにしていたら、執刀医の無情な一言で、術前の二日間は絶食となってしまった。お楽しみのおともに再会できるのは、何日後のことなのであろう。
というわけで、最上階へご挨拶に行って来ました。やっぱり上品なおばさまでした。