長いお付き合いといえば


真鍋博描くピンク色のアストン・マーチンがまぶしいお遊び満点、最初で最後の「007号特集/1965」以来のお付き合いのEQMMの後身、HMMの方から突然メールを頂いた。
コラム好きだった素にとっては、「深夜の散歩」に代表される敷居の高い雑誌であったが、単行本で読めなかった、クレイトン・ロースンの短篇「天外消失」 の掲載誌、中綴じだった頃の同誌を探して古本屋あさりをしていたのだから、それほど浅いお付き合いではなかったかも知れない。勿論HMM以降も毎年夏恒例の「幻想と怪奇特集」は買い続けていたし。
入院前のバタバタではあったが、そんな憧れの雑誌からの依頼をお断りするわけにはいかない。なんでも、書評コラムの筆者の方が、当『黒死館逍遙別巻』に興味をお持ちだというのである。早速編集の方に、バックナンバーを一括りにしてお届けした。先方は驚かれたと思うくらいの過剰反応であった。
入院後に掲載誌を送って頂いたが、この1ヶ月の状況下でお礼も満足にできなかった。HMM十一月号特集の「刑事コロンボ」は放映中も流して見ていた程度だったから、みなさんの感想を、感心しながら眺めていた。
肝心のコラムだが、筆者は松坂健氏。「ミステリ・サイドウェイ」との名の通り、ちょっと外れた関連書の書評である。直井明氏、喜国雅彦氏と並んでの紹介は、ファンジンとしては異例なのかもしれない。お言葉に入った「好きこそものの上手なれ」は、過褒ではないかと思いはしたが、とにかく、キチンとHMM本誌に書名が記録されたことは、何よりの、入院中の心の拠り所となった。
筆者の松阪さん、編集部のYさん、お忙しい中ありがとうございました。一生の記念になりました。