『マンク』を見る


散々ツィッターでフォローしていながら、やっと最終日間近の昨日、渋谷へ出掛けた。シアターN渋谷は初めてだが、地図で見るとどこかで見た覚えがある場所だった。なんともとはユーロスペースがあったビルだった。マイナーだった頃のピーター・グリーナウェイの『ZOO』などで、よく通ったところだった。
マンク』、もう原作もすっかり頭から抜けているので随分新鮮だった、が何しろホラーじみたギミックは押さえ気味で、人物の心理を活かしたキチンとした映画作りが好ましかった。告解室の出だしの悪魔の誘惑、アンブロジオの不吉な生誕から誘惑者の登場まで、畳みかけるように主人公が追い詰められていくさまが着々と語られていく。
 The_Monk 挿絵
アントニアとの出逢いから、媚薬の効果で思いを遂げた瞬間を見られた実の母の殺害まで、情事の夜のバックグラウンド、マリアの夜祭りが実に効果的で、原作が泥臭いスペインのバロックカトリックを舞台にした理由が納得できる。宗教裁判に至る経過がちょっと弱いようだが、多分退屈だろうから、まあそれは良しとして、帰ってからK氏と祭のネタ探しで二時間ほど盛り上がったのも、上の予告編でも取り上げられているあの強烈な土俗的イメージに圧倒されたからなのである。