熱の籠もった宣言が嬉しい

英国ゴシック文庫・市川純氏訳『アナコンダ』読了。エキゾチシズムと冒険という、キプリングに繋がるゴシックのもう一つの形の原型。商業的な観点とは違う、同人誌という区切りの中で登場した新しい風は南から吹いてきた。迷信的な原住民の、大蛇に対する恐怖に抗して繰り広げられる、主人公の葛藤と行動がサスペンス溢れる筆致で書かれた名品。冒頭の英語の不自由な原住民の少年が語る、カタコトの発言に振り回された、周囲の人の冷たい反応と、実際の主人公の落差がドラマチック。
〈創刊!英国ゴシック文庫!!18,19世紀イギリスの、知られざる幻想・怪奇譚を発掘・紹介する文庫シリーズを発足!第一弾はマシュー・グレゴリー・ルイスの「アナコンダ」。セイロン島を舞台にした大蛇との死闘!間に合ったら第二弾メアリ・シェリーの「不可視少女」も刊行予定。立ち読みだけでもどうぞ!〉
立ち読みなどはもったいない! カタログから引用した宣言中に、既に二巻目の予告が!! どうか第一巻が沢山売れて、第二巻発刊の後押しになって欲しいものだ。