また寄り道 ゴールの英雄 Asterix

ゴールの英雄といっても素天堂のことだから、蹴球のゴールキーパーのことでは無論ない。
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ユゴーノートルダム・ド・パリ』のあちこちを歩き回っていて、いつものことだが引っ掛かる言葉に出会った。全編を覆うゴシック讃歌は当然として、たった二箇所、「建築に示されたゴール精神」という感動的な言い回しを含む「ゴール」という言葉に出会う。もうひとつ「ケルト民族」、パリにおける「(深く埋没してしまっていた)ケルト式な地層」も気になるところだ。フランス人にとって、はるか紀元前にローマの大将軍ジュリアス・シーザーと対等に闘ったケルトの勇将ヴェルサンジェトリクスVercingetorixは、永遠の英雄だ。
アステリックス
そう言えば、また大昔だが、七十年代の初めに双葉社から、『アステリックスの冒険』というフランスの漫画がたった三冊だったけれど、当時としては豪華な装幀で出版された。まだ、『タンタン』さえ一般に知られていなかった時代に、紀元前の歴史物語は無謀だと思ったが、結構面白かった。残念ながらあまり売れ行きも思わしくなかったらしく、そのまま消えていってしまった。まだカエサルの『ガリア戦記』さえ、ロクに読んでいない時代のことで、特に残念にも思わなかった。
 村の地図  
その物語の基本は、ちびのひげ親父「アステリックス」を主人公に、ドルイド僧ゲタフィックスの秘密の薬の力を借りて、ローマ帝国軍に刃向かうゴーロワ(ゴール人)たちの日常ではあるが、原作が『わんぱくニコラ』のゴシニだったから、決して肩肘張った時代物ではなかった。もしかすると、双葉社はゴシニ人気に便乗するつもりだったのかな。残念ながら思惑ははずれちゃったのだろうが。ユゴーを読んでいて思いついたので、いつものようにネット検索で遊んでみたら、びっくり。
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日本ではもちろん駄目だったが、フランスを中心とするヨーロッパでは、未だ現役どころか、映画も何本も作られているし、フランスやドイツなどにはテーマパークさえある盛況だそうだ。同じフランスの『タンタン』も映画が公開され、某酷暑書肆では、マニアックな「バンド・デシネ」のシリーズも出版されている現在、たまには、そんな、楽しい漫画も翻訳して貰えないものかな? ちゃんと、ドルイドの秘術だってだって出てくるんだから。