京都初日は島原巡りから突然のゾウさんとの遭遇

三日間の神戸のんびり滞在を終わり、ゆっくり宿を出て次の予定、京都を目指す。素のわがままで、JRを使わない旅程を組んでもらい、阪急電車で、京都行き。あんまり見たことのない関西の下町の軒を通って京都を目指す。とはいえ、ウイスキーで有名な山崎の山裾を抜けたり変化の多い沿線旅行で大満足。
 阪急大宮地下駅で降りて、地上に出るが、南北が判らずちょっと迷う。なんとか方角を確認して、約二十分の徒歩。神戸の土産の重さに腰をふらつかせつつ、京都の宿へ、なんでもチェック・インしなくても手荷物を預かってもらえるというのだが、受付は無人インターフォンをならすも、受付の人は現れない。やっと来たとおもったら子連れのママがチャリで到着。あっけにとられるがまず、手荷物を預けて一安心。西本願寺脇で、逢う人逢う人頭の丸い人ばかり。とりあえず旧島原遊郭巡りだが、その前に腹ごしらえということで、西本願寺裏の商店街の大衆食堂で腹ごしらえ、K氏は玉子丼、素は関西にドップリはまってまたうどん。
全く町中を埋め尽くす町屋造りを堪能して、町外れの公園で一息。

この後某所に行くのだが、それは今回はパス。
陽が傾いてきたのだけれどまだ時間があるので、京都なんだからということでちょっと離れた九条の東寺さんへ詣でる。
信仰心はあまりない方なのだが、敷地に入るとやっぱり敬虔な気持ちになれる。宝物殿は時間がないので敬遠し、本堂と金堂のみ拝観することにする。残念ながら仏像への造詣は皆無なので、ホームページを見て頂くとして、ギリギリでまわった夕まぐれの庭園と五重塔は本当に心洗われるという形容がふさわしい光景でした。

後は目当ての古本屋さん「谷書店」から、本日の夕飯までちょっと遠回りをして、お西さんの方角を目指して歩き出す。諸所にいかにも京都らしい点景を愛でつつ、JRの線路を目指して歩いていると、突然、ある蝋燭屋さんの店頭にうずくまっている赤いものがモゾモゾと蠢きだした。気味悪くなってそそくさと店頭を離れたが、後で調べてみると、あの店は老舗の蝋燭屋さんで、店頭のオブジェは、京都の、いわゆるゆるキャラであったらしい。
ガードを潜って、目標の「谷書店」さんに辿り着く。仏教本と外国文学が混じり合った不思議なお店を堪能して、とりあえず、一服と思ったが、なかなかお店がない。通りは広いのだが、何しろ人がいない道で、やっと見つけたカフェ風のお店で一休みした。さらに北に上って本願寺さんの前あたりを、食事処を探して徘徊するのだが、生身の人間のためのお店がない、場所柄、宗教用具のお店ばかりで、まだ日が落ちたばかりだというのに看板さえ明かりが落ちている。半泣きになりながらうろついている二人の前に、夕闇にヒッそりと赤煉瓦の偉容が立ちはだかる。西本願寺の伝道会館、なんと伊東忠太の名作である。道ばたに連なるゾウさんや鳥たちを見ながら、写真を撮るには暗すぎるし、予備知識もないままなので、翌朝再見することにして後ろ髪を引かれる思いで、今夜の飯を探す。

大通りの向かいは、広大な西本願寺派大本山だけに、道の両側に飲み屋どころか、食堂さえ見当たらない、さらに泣き顔を深めつつ、近くのBOを覗くが、泣きっ面に蜂か、見事に何の収穫もない。諦めて、遠くに見えたコンビニで食料を仕入れて、宿で晩飯かと、大きなビルの角を曲がると、ありがたや、何軒かの飲食店が並ぶ区画があった。狂喜して、よさ気な飲み屋さん「魚々丸」に入って、やっと一息。思った通りのいいお店だった。ゆっくり精進を落として今日の宿に帰った。