『馬のくしゃみ』とちょい寒の大阪 まずは古本行脚から

「歌舞伎そば」の愚痴からはや1週間。その間にいろいろなことがあった。
意外な発見に驚いた英文学者金子健二の著作で参照先だった『馬のくしゃみ』がなんとヤフオクで出品されていて、なんの競争もなく落札出来てしまった。
どんな英文学エッセイかと思ったのだが、大正初年の充実した欧州旅行記であった。ゆっくり読んでる暇もなく、大阪へ出発である。
今回のメインはもちろん第十四回と通番のついた「文学フリマ 大阪大会」への出展なのだが、もう一つ大きな目的があった。それは大都会、大阪の古本屋さんを少し覗いてみようというささやかな望みでありました。
新大阪から地下鉄を乗り継いで今回の拠点である谷町四丁目へ向かい、ビジネス街の高速道路の下を目的のホテルへ向かう。表通りから一本入った裏手にあるホテルだったが、そちらに曲がる角に気になる飲み屋が眼に入った。路次に入ってすぐの「スーパーホテル大阪谷町四丁目」(マップが楽しい)で、宿泊手続と手荷物預けをすませた。
今回は地の利を生かせる、大阪市営地下鉄一日乗車券(エンジョイエコカード)を活用して、ちょこちょこ乗り換えしながら細かく移動する予定。本日の目的地、「天神橋筋商店街」 に居並ぶ古書店群にむかった。まずアーケードの入り口の装飾に驚きながら、ちょっと戻って最初のお店、「空閑文庫」名前とは裏腹の緊張感あふれるお店。店内は土足厳禁、通路まできっちり埋まった本は、それぞれのジャンルで代表的なものが多く、それなりにしっかりしたお値段。ありがたく参観した気持ちでお店を出る。
商店街から見えた練り塀に興味を持ってそちらに行ってみると、見事なお社がみえる。この天満宮が地名の由来だったのである。

茶店が少ないなあと感想を漏らした瞬間、商店街のあちこちに現れはじめる。とりあえず順番に店を巡り始めるが、三丁目の天牛天神橋店の店頭放出棚で火がついてしまう。覚えていた大昔の心斎橋のお店より大分小さいが、新旧取り混ぜたヴァラエティに富んだ品揃えが楽しく、懐かしものを中心についつい買い込んでしまう。一軒の店を選んでお茶に入る。
それから何軒かまわったが、「ジグソーハウス」で、究極のミステリコレクションを堪能してお腹いっぱいになり、時間も押してきたので地下鉄の駅を探して、梅田に向かう。K氏の妹さんと食事の約束で待ち合わせ、前から気になっていた「梅田古書の街」近所のビアホール「Bierburg UMEDA」で、盛り上がりました。
妹さんの職場の近くだそうで珍しく仕事話で十時近くまで盛り上がってしまいました。
翌日は、ゆっくり起きてホテルの一押し、和食朝食をすませて、またもや地下鉄に乗車都心部中之島地区へ向かう。最初に大阪に連れてきてもらったときに通って以来の近代建築群を今回はゆっくり鑑賞することにした。地下鉄淀屋橋駅が複雑で出口を迷ったが、後から考えると、この駅からならどこから出ても中之島に出られるようだった。淀屋橋を渡り市役所から府立図書館を廻って、中之島公会堂のコースをとる。前に来たときは時間の制約もあって外から見ただけだった図書館も中に入ってゆっくり鑑賞することができた。まずは壮麗なエンタシスの正面玄関下から、ホールへ入っていく。

 
続いて煉瓦造りも見事な中之島公会堂は出入りも緩やかで、思う存分館内を巡ることができた。その上地下の中之島倶楽部でゆっくりお茶を楽しんだ。
   
それから対岸の北浜方面、近代建築を何軒か巡って、ポットのかわいい喫茶店や、アールデコ風のビジネスビルなどを見て回る。
     

もう一度中之島に戻って、近場の古本屋らしきものを訪ねるが若干不完全燃焼だったので、結局天牛の江坂本店を目指すことに。
緑地公園へは結構長い時間乗ったが、同じ路線内だったのでいつの間にか着いてしまった感じだった。ちょっと歩いたが、瀟洒な造りのお店の店頭には古い看板が飾られていた。もちろん稀覯本も多い店内だが、一般的な値付けの本も多く、ゆっくり楽しむことができた。思いっきり買い物をして両手に荷物もあるので表通りの角の「マクド」で一服して、坂道を下って江坂へ戻ることにした。
ホテルに戻って確認してみると結局念のためと称していた、折りたたみカートはやっぱり満杯。しかも図録が多いので重くてとても運ぶことができず、結局翌朝、表のコンビニで段ボール箱を分けてもらって、自宅へ発送という体たらく。とりあえず落ち付いたところで、気になっていた角の「銭屋」さんへ、大きな赤提灯が魅力的な、焼き鳥も美味しくくつろげるお店で、ゆっくりと疲れを休めることができた。カップル割引十五パーセントの大サービス付き。
で、メインイヴェントの「文学フリマ」についてはとても書き切れずまた明日ということで。