二日続きの早稲田詣で

前の日記で恐る恐る告知させて頂いた「桑野塾」での人前話「ケルトルネサンス虫太郎の創った世界」。K氏の叱咤、皆様のご厚意のお陰で、全く初めての経験ながら無事終了することが出来ました。ご来場頂いた皆様ありがとうございました。
「虫太郎」、「黒死館」と称しながら、ほとんどが小説と関係ない歴史話、手前勝手な推測を蜿々二時間にわたって辛抱してお聞きくださった方々の、暖かい応援、感謝致します。その際に引き合いに出したヴィオレ・ル・デュックが偶然二十七日のグーグルのホーム画面になっていてビックリしました。しかもあのピエルフォン城だったことも驚きでした。
また、当日お話しした柳下美恵さんピアノ伴奏による『ポルチシの唖娘』、昨日同じ早稲田大学構内の小野記念講堂で鑑賞してきました。

いかにも虫太郎好みのロマンチックな作品でしたが、虫太郎はこの作品に流れる民衆蜂起の物語もきっと気に入っていたことだと思いました。後から伺った報告で、パヴロヴァが、自分の映像に不満足だったと言うことを伺いましたが、当時の固定カメラではそれもやむを得ない感想なのでしょう。しかし、最初期の女性監督だったロイス・ウェバーの力量は、その短所を補ってあまりある迫力を醸し出しておりました。
海岸で、海藻を持って踊るシーン、森の中での密会シーン。バレリーナという、全てを無言で表さなければならないパヴロヴァのしぐさの美しさは、パヴロヴァ自身の厳しい審美眼を越えて、二時間近い長尺が、あっという間でした。
自分にとっては小栗虫太郎という媒介を経ての鑑賞ではありましたが、百年という時間を超えて、波瀾万丈の物語は自分たちを楽しませてくれた作品でした。虫太郎に御礼を言わなければなりません。
そして、圧倒的なピアノ・ワークで物語を引き立てて頂いた柳下さん、ありがとうございました。