2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

白き日旅立てば不死 荒巻義雄 早川書房 1972

30年ぶりの再読だったが、以前PUHIPUHIさんご指摘の、この作品における重要なベースであった、サド「美徳の不幸」がらみの設定を全く意識の外に置いてきていたのにちょっと驚く。 西洋におけるエロティックな美術や文学は嫌いではない。と云うより割合積極…

禁じられたのは、恋だったのだろうか。

「禁じられた恋の島」エルザ・モランテ 大久保昭男訳 世界文学全集“グリーン版”Ⅲ−18 河出書房 1965 主人公の少年が自意識に目覚めて、幼年期の自分の分身でもあった島を出、あとになってから少年にとっての恋というものが、その少女との感情の起伏そのもので…

恋の島は夢の島? 「禁じられた恋の島」エルザ・モランテ 大久保昭男訳 

世界文学全集“グリーン版”Ⅲ−18 河出書房 1965 戦後の'50年代を過ぎた頃から暫く、文学全集が出版社の収益を支えたことがあった。揃えることで知的満足感を得るという、安易なスノビズムがその収益をもたらした時代で、講談社、新潮社の大手から集英社、筑…