二冊の拾いもの「超革命的中学生集団」ハヤカワ文庫SF1974/角川文庫1976 / 朝日ソノラマ1971刊 サンヤングシリーズ

吾妻ひでおの前は、永井豪だった。『馬子っこきん太』から『ハレンチ学園』までは、大人向けも含めて『COM』の頃から読んでいた。今では手もでないが青林堂版の自選傑作集『よくふか頭巾』はギャグ漫画史に残る名作だったと思う。中期以降は作風が変わって素天堂には縁のない方向に入ってしまったが、初期の悪意に満ちたギャグ作品は今でも古びていない。
そんな彼がイラストを担当した本としては筒井康隆の『三丁目が戦争です』と、この平井和正によるハチャメチャギャグ『超革命的中学生集団』を思い出す。
朝日ソノラマの「サンヤングシリーズ」は、当時拡がりつつあった児童文学の高年齢化にあわせた、いわばエンターテインメント系のジュブナイル叢書で、素天堂的には、中原弓彦小林信彦)『怪人オヨヨ大統領』井上ひさし『ブンとフン』都筑道夫蜃気楼博士』などがお好みでありました。
その頃の朝日ソノラマは、虫プロの『虫コミックス』と並ぶ、大コミック叢書『サン・コミックス』がメインだったので、ビジュアルを重視した過激な装幀が特徴だった。

『超革中』を最初に再度手にしたのは、角川版だった。当然のことながら、この作家の作品はSFマガジンで発表されたごく初期の作品を除いては、この作品しか読んでいないのだけれど、冒頭でも書いた永井豪ファンだった自分は、まるで生頼範義による自己パロディにしか見えないこの装幀と挿画は若干ショックではあった。だって、ヨコジュンヨコジュンじゃないし、鏡明鏡明じゃないんだから。とはいえ、作者本人によるあとがきは貴重だが、それからさえ。もう三十年たってしまっているのだなあ。

だから、まさかと思ったこれを見つけたときは本当に大喜びだった。表紙こそオリジナルではないけれど、挿絵は、多分オリジナルのままだったと思う。K氏に見せびらかしたら、冷ややかな反応とともに「日記にでも書いて自慢すれば」といわれたので、こうやって公開するのです。それにしても『馬子っこ金太』の表題を確認しようと思ったらこんなページが!。ラインナップを一覧して、懐かしさに思わず涙ぐんでしまった素天堂であります。それにしても、子供のなめている飴をかすめて泣かす、〈よくふか頭巾〉。力だけはある〈ジャントニオ猪場〉。ああ、もう一度彼らに会ってみたいものだ。と書いてさらに検索したら……。早速会員に