2007-01-01から1年間の記事一覧
先日、いかにも「黒死館」にふさわしい死闘の末に、三十万を超える高値で初版美本のヤフオクが終了した。勿論それに値する〈値打〉のある本であることは承知しているのだけれど、裏街道をコッソリと渡り歩く身としては、なんだか悲しい。光輝く世界もあれば…
『雲を笑いとばして』を読んでみないかといわれたとき、作家名を見て最初に思い出したのが、出版社名は忘れていたが訳者と挿絵のイラストレーターで覚えていた本のことでした。児童書といえば、書店の店頭でスタンドに差された、量産の知識絵本か、お説教臭…
前にも名前を出した、「ユリイカ」で二十年ぶりの稲垣足穂特集だ。白地を生かした艶のない用紙に、「夜おそく郊外電車で走った人は多分知つてゐるにちがひない。」ではじまるタルホの旧作『タッチとダッシュ』の初出ファクシミリ版と、小さな幾何学的オブジ…
昼近くまで二度寝して、ほとんど昨日からはまりっきりの、久し振りの市長生活。住民の要望である〈空港の建設〉を無視していたら、人口の低下で真っ青に。そのかたわらで通販の発送作業を続けるK氏から、ときどきオブザーバーからの助言が入る。 そんなノン…
ピントはずれは承知で今回は、身内本。作者曰くラブコメだというが、見事な奇想ギャグが全編に溢れている。メインキャラは本来の原作では脇の彼↓ この小さい犬のキャラ設定を知っていると、一段と面白いらしいのだが、ジャンルや原作を知らなくとも十分すぎ…
引き裂かれた神の代理人―教皇正統記 ここで描かれている中世末期欧州での対立教皇(法王)による教会分裂などという事件は、高校時代の世界史でせいぜい一時限のエピソードでしかなかった。非キリスト教徒には、なぜか高潔なイメージの強いカトリックの歴史…
去年の「ハウルの動く城」に続いて、劇場へ来たのは「鉄コン筋クリート」だ。 広い空の拡がる街のてっぺんにいる一人の少年。その少年にかぶるように、幼さの残る別な少年のナレーションが重なって、ストーリーは始まる。広い空間描写が眩暈さえおこさせる、…
最近立て続けに、恵比寿ガーデンプレイスに出没している。勿論こじゃれたショップや、こぎれいな食事処に用はないから、都写真美術館に行く。昨年末は「コラージュとフォトモンタージュ展」写真術・最初期の焼き込みによる画調の調整から、実際の〈毛抜き〉…
『酷使観賞用』、もとへ『黒死館逍遙』に毎回つけている付録のはがき。いつも素天堂の勝手な思いこみが多いのですが、特に今回のブリューゲルは判りづらかったかもしれません。北方ルネサンスの巨人、〈気違いブリューゲル〉と呼ばれた画家は、当時としても…
『黒死館逍遙 第四巻』内容は、 「魔法博士(ファウスト)」に劫罰はくだされたか−またの名「Kの悲劇」 1.史実としてのファウスト / 2.伝説としてのファウスト 3.文学としてのファウスト / 4.虫太郎におけるファウスト像 5.もうひとりのファウス…
ご訪問のみなさま、本年もよろしくお願いいたします。 十二月三十日コミケット70での来訪者の方々、ですぺらでの同席者の方、お買いあげありがとうございました。おかげさまで楽しい時を過ごすことができました。 昨年最後の日記が、「ノロ」のままで終わ…