2007-01-01から1年間の記事一覧

できぬことならやらぬがよい

この数週間、あの類人猿俳優の怪演にもかかわらずミステリー・チャンネルでの『岩窟王 モンテクリスト伯爵』を楽しみにしていていたのは、悲しみに打ちひしがれるマクシミリアンの前に、最後の最後に現れる再生された「ファラオン号」のマルセイユの港に入る…

通販開始お知らせ

本日より通販窓口改訂いたしました。 よろしくお願いいたします。

72コミケ御礼

18日は涼しい一日で、一般入場の方も過ごしやすかったのではと思います。 毎回楽しみにして頂いて新刊をお買いあげの方々、大人買いをしてくださった二名さまを含めて、みなさま、有難うございました。探偵小説モードの強い第三巻だけを買ってくださった方…

Die Konigin in Wire Action 雪は敵同士を包み、雨はすべてを洗い流す。

十数年ぶりに日比谷で映画を見る。『魔笛』をケネス・ブラナーが第一次世界大戦を舞台に映画化したものだというので、興味津々、日曜の早朝だというのに、K氏を引き連れて出かけてきました。 序曲に乗って西部戦線の塹壕が拡がる荒野、ズームしていって主人…

18日土曜日、東Jブロック-32b

新刊「黒死館逍遙 第五号」が届いた。今回のカラー口絵は、K氏絶不評の〈カール・テオドル肖像〉。チャーミングな顔立ち、お洒落な衣装、素天堂的には今回の内容にもっともふさわしいと思っているのですが、ヴィジュアル的に問題があるということで、会場で…

ルクレツィア再会

国立西洋美術館で、パルミジャニーノと会ってきたのは、もう三週間も前だ。無理矢理時間を捻出して「ルクレツィア」に再会した。紅潮した肌と宙空を見据えた眼、胸に刺さった短剣とそれを持つ手。小品ながらもパルミジャニーノにしては破綻のない佳作である…

ダーガーの魔

あの地獄の真っ最中に品川の坂を上り、八山橋を越えて、久し振りに「原美術館」をおとずれた。お目当ては最終日の『ヘンリー・ダーガー展」である。素天堂の「この展覧会、きっと空いてるよ」という願望は、同じ方向に向かう人並みの多さで、まず砕かれた。 …

脱稿!!!

三ヶ月にわたる取っ組み合いからやっと生還。目の前を包む濃い霧のあまりの深さに、何度か投げ出したくなった今回の作業だった。漫然と聞いてるものならまあ良い。音楽なんていうものを「黒死館」と結びつけようとしたのが運の尽きだった。 四人の楽人から墓…

さらに近況

まえの日記からもう3週間が過ぎてしまった。 ああ、作業は遅々として進まず。背後からは叱咤の声が……優しく、厳しく語りかけられる日々。やっと終盤に差し掛かって、微かな灯りが遠く、見え隠れしてきた。楽しくも厳しい日々が続く。こんな時に限って勤務先…

またまた近況など

本来自分のジャンルでないものに手を出そうとするから、えらい苦労をしている。とは言っても『黒死館』と音楽は無視できない関係なのだから、たとえ苦手であってもいつかは、取っ組み合わなければならい。だったら早いほうがいい。ということで、1ヶ月近く…

届いた! 『たくさんのお月さま』ジェームス・サーバー作今江祥智訳 学研1965/1968

定価が三百八十円、安いと思われるかもしれないが、あのころは終日働いて八百円の時代だった。今これを入手するのにマクドナルドのバイト代三時間分。今この水準の装幀で出版されれば当然この値段だろう。 包装を開け、実物を手にした途端、手の先から、スー…

近況など

五日にはいろいろお世話になった赤坂の「ですぺら」へ、K氏といってまったりと過ごしてきました。また再開されたら、なんとかもうちょっと遊びに行きたいです。 ここのところ、古いヴィデオテープの整理をしたり、久し振りに銀座の「新生堂奥村書店」さんを…

塔の子供とキャプテン・ジャック、そしてさまよえるオランダ人。カミ「エッフェル塔の潜水夫」

感想が書きづらい本というのがある。何度も読み返しているはずだし、その内容だってその再読に耐える名作なのに。 天を摩す、近代パリの象徴、エッフェル塔に出現する謎の潜水夫の必然性。エッフェル塔の貰われっ子「ファンファン・ラ・トゥール」を巡る人々…

至福の時 趣向の宇宙 再説/幻想美術館

会場へ入った途端、目に入ったのがマン・レイによる「空想的サドの肖像」だったので、脇目もふらずにそっちに引き寄せられてしまった。そこに並ぶ、コクトーの写真とかハンス・ベルメールの危険なエッチング類にカウンターを食らう。一瞬の眩暈から立ち直っ…

迷宮入り 澁澤龍彦−幻想美術館 

これがあるという名目で、一時間も早くでてきた昨日の夜、朝一で出発して北浦和で夢の美術館迷宮巡り。ゆったりと300点を超す展示物にさまよい、六〇年に酔いしれる二時間だった。 ロッカールームの怪奇。 ミュージアムショップの脇のガチャガチャで買っ…

乱歩賞受賞作を凌ぐ傑作 倫敦暗殺塔 (祥伝社文庫)

いわゆる〈プレ『十角館』〉時代の素天堂にとっては、ツヅキ・ツツイの二大作家を除いて、読める作家といえば『写楽殺人事件』をはじめとする、乱歩賞受賞作家の中から選ぶくらいの選択肢しかなかった。とはいえそのすべてが、処女作の方向を持ち続けるとは…

奥飛騨郡上巡行

連休に旅をしたいというK氏と、こっちへおいでという岐阜市在住の旧友S氏の企画で、踊りの街〈郡上八幡〉へいってきました。行くからにはきっちり廻りたいというK氏の意向をくんで前日の二十一時過ぎに岐阜入り、宿に迎えに来てくれたS氏の案内で、連休…

一箱店主日記@谷根千

06:30起床 シャワーで目を覚ます。ほとんどの準備を昨晩K氏が終わらせておいてくれたのでそのまま出発できる。 08:00朝食代わりにコーヒーとケーキで、マリー・アントワネット風。 08:30出発 新大橋通で信号を渡った瞬間タクシーを拾える。ラッキイ。 09…

レオナルドを視る

平日の夕方。という現在の状況としては最良の観覧条件をK氏の尽力でつくることができた。社会現象にまでなった「モナリザ展」の狂乱振りを冷ややかに傍見してきた、レオナルド・フリークの素天堂である。今回もさぞやと思ってはいたものの、外出のたびに見…

MYSCON8夜の部 不完全リポート こっちも大事

同人誌の行商もあるし、前回のギリギリ滑り込みを避けたくて勝手に読み違えた集合時間。スタッフは5時から、という記事を勘違いしてその時間に到着してしまった素天堂です。 しかも今回は入場前の東大前古書店巡りでちょっと買い物があって、売る前に荷物を…

第4回 一箱古本市 「LIBRE TONSURE」 詳細です。

日時 2007年4月29日(日)11時〜17時 ※雨天決行 場所 Gallery Jin 持っていく予定の本たちです。玉石混淆かもしれませんが、お気に止めていただければ幸いです。 ★文庫★ フランチェスコの暗号(上下) コールドウェル&トマスン 200 ダヴィンチ・コード(上…

一箱古本市「LIBRE TONSURE」

送ってもらった『彷書月刊』の縁で、絹太氏が乗り気になったので、こんな事になりました。少し本を整理しようと思っていたので素天堂も大はまり。詳しいことはこちらへ。 素天堂の日記でとりあげた本なども出ております。よろしかったらお越しください。

『球体の神話学』高橋睦郎 河出書房新社1991

第三回 ズンドコ杯争奪 読んでみやがれ!感想文の会 ズンドコ杯、今回のお題もエッセイ。しかも〈神話学〉である。いわゆる、作者にしても、テーマにしても、読みそうで読んでない方の筆頭にはいる本をしっかり選んできているのは、敵ながら天晴れである。と…

絶品 Tristram Shandy-A Cock and Bull Story (2005)

yahooBBTVの一局「シネフィル イマジカ」で放映された、まず日本では劇場公開不能な作品。 マイケル・ナイマンの音楽が、トリストラム(主人公で語り手)の受胎シーン!をはじめとする、この破天荒な作品の進行を心地よくサポートしている。この監督の他の…

再生 古代時計室 日本探偵小説全集〈6〉小栗虫太郎集 (創元推理文庫)

長らく整頓しておりませんでした「古代時計室](辞典バックナンバー)」を再開いたしました。閲覧を希望される方はここから一言欄に閲覧希望とお書きになってお申し込みください。折り返し、アドレスをお送りいたします。ここ一年ほど、辞典作業が滞っており…

無理矢理〈センチメンタル・ジャーニー〉での拾いもの

『報道写真 十一月三日の記録 カメラ毎日別冊』 1956刊 K氏が外出する。その近所?に最近K氏が見付けた、いい本屋さんがあるというので、後をついていくことにした。そのお店は根津から池之端方向にちょっと歩いた路地にあった。表に並ぶ均一本が面白いの…

サクラが満開 『團十郎切腹事件』

雅楽全集発刊の報を知って、いても立ってもいられず、都心の本屋へバスで向かう。途中、永代橋たもと門仲側の交番脇のサクラが満開だった。例年早いのだが、今年のそれはいかにも見事だった。バスを丸の内一丁目で降りて、「丸善 丸の内本店」文庫売り場へ直…

「山王書房」で売ってもらった本たち

京浜東北線の大森駅を山側で下りて、ゴミゴミした駅前のマーケットを抜けると、線路沿いの大井町から馬込方面に向かって下り坂のバス通り、池上通りだ。『夕暮の諧調』を買った本屋さん「ハラダ」が道の向かいにあって、ホームにくっつくように線路際にあっ…

一人でしかできないこと、一人では絶対出来ないこと 『NARA:奈良美智との旅の記録』

ラディンさんから「ですぺら」での歓談中にチケットを頂いていたので、今朝早く家を出て渋谷へ出かけた。丁度窓口が開いたばかりで、列も短かったので受付登録もすぐに終了。坂を下って角のカフェでお茶。時間調整も兼ねて、渋谷の「HAND'S」に初めてはいる…

満身創痍の本達Ⅱ 『清らかな意匠』谷口吉郎 1948 朝日新聞社刊

正月の銀座松屋古書展で拾ったこの本を表題の第二弾として取り上げようと思ったのは、他でもない、今はなき〈二笑亭〉の最も重要な証言者の一人だからだった。〈博物館明治村〉の初代館長であり、〈国立博物館 東洋館〉の設計者としての著者を知らないわけで…