2008-01-01から1年間の記事一覧

ぞぶり、/ぞぶり、/と、血と肉の啜られる音が響く。(16)

都大路を鬼が跋扈した時代があった。その時代を生き生きと、哀しく描いた物語が新聞連載されたとき、その物語と、描かれた挿絵に惹かれて自分なりの絵本をつくろうと思ったのだが、生憎と、ある事情で一日分がかけてしまったので、とうとう完成させることは…

水を差す

こんな本が出た。あちこちで話題にもなり、素天堂としても無視できるはずもないので、近隣の新刊本屋へ、自転車を走らせた。解説は澁澤龍彦。もう一人の方は存じ上げない。テキスト的には古典でもあり、過大な期待はしていなかったつもりだが、新しく出る本…

邸宅拝見講談拝聴

先々週に引き続き、K氏が早くから予約を入れておいてくれた、〈上方講談界のプリンス〉旭堂南湖さんの「ふるほん講談」を拝聴のため、千駄木駅を降りたわれわれは、ひとまず一服、腹ごしらえということで、駅前の煉瓦壁「千駄木倶楽部」。内容の濃いボルシ…

天気将軍?

先日、縁あって徳川夢声の『随筆 天鬼将軍』双雅房1940 を入手。間髪を入れずに読了した。夢声といえば、明治、大正、昭和に渉るショー・ビジネスの証言である『夢声自伝』や、詳細な『夢声戦争日記』が代表作かと思う。勿論『週刊朝日』誌上での、対談集『…

いつも夢を見ていた

〈ですぺら〉へいって、カウンターの中の人と話を始めると、結局それを思い出す。 昨日の赤坂は半年ぶりだったが、石井さん、法水さん、りきさん、プヒプヒさん、比呂さんと、カウンターはフルメンバーであった。あの方がお見えになっていないのは画竜点睛を…

順調新PC

昨晩届いたショップ・ブランド牛PCだが、今日は帰宅早々開梱して立ち上げ作業。 この機械はいわば、ヴィデオ資産の消化用として特化させるために、キャプチャーボードを増設しなければならない。Win95時代には、メモリ増設からCPUの交換まで、PCを…

アキバPC買付道中

久しぶりの、週中休日。前から約束していた銀座「葡萄屋」での名物ランチ、〈とりめし〉をK氏に紹介。十一時半過ぎには着いたが、休日は十二時からだという。時間つぶしに有楽町駅前、旧「S-マップ」現「B-カメラ」別館をひやかす。実は、だいぶ前から動…

隊長!ご苦労様

そういえば、当日時間前から精悍なヘルメットをかぶった自転車部隊の隊長さんは、やる気十分で、一日頑張っておられました。夕方近く。ちょっと、おこけになられましたが、雄々しく立ち上がって、隊長の威厳を保たれていらっしゃったのには感動いたしました…

売る快感 2008春〈一箱古本市〉LIBRE TONSURE 報告

朝起きての雨が心配だったが、出かける頃には上がり、会場である千駄木の大家さん「古書ほうろう」前の路上はすっかり乾いていた。二回目の参加でもあり、値付けを始め、K氏の準備おさおさ怠りなく、今回はさしたるトラブルも発生せずに開店することが出来…

大間違い !!!

一箱古本市出店の大家さんを間違えてしまいました。指摘されて大至急訂正いたしました。ご訪問頂いて、予定までされた方まことに申し訳ございません。とくにstewardさま、根津と千駄木の大間違い、まことに申し訳ありませんでした。勿論、どちらも大好きなお…

いよいよ当日せまる

皆様午前11時古書ほうろう前でお逢いしましょう。

2008春 一箱古本市 LIBRE TONSURE 出品目録

2008年4月27日 於古書ほうろう 文京区千駄木3ー25ー5 トンスラ素天堂と絹山絹子のお店、二回目の参加です。今回も、変な本、妙な本を中心に品揃えしてみました。皆様のお買い得ごころを揺さぶれればと思っております。ついでに素天堂の個人誌「黒死館逍遙」…

ボマルツォから遠い昔へ

先日買った鹿島出版会『イタリアのヴィラと庭園[rakuten:book:10674525:image]』。庭好きの素天堂にとっては必読文献でありながら、なぜか手に取りづらい本だったのだが、開いてみて驚いた。数多の名園に混じって、あの「ボマルツォの怪獣庭園」が取り上げら…

鳳明館の宵2008

やっとの思いで職場を抜け出し、都営大江戸線についたのが五時二〇分、会場に到着できたのが六時十分頃、挨拶もそこそこに同人売り場に入れて貰うが、よく考えたら、今回は予約していなかったのだった。にもかかわらず、shakaさんの案内で、いつもの部屋へ。…

幼い遙がかわいい『もやしもん6』

だが、今回は全編、フランスが舞台。直保の周囲を飛び交うフランスの菌。彼らは日本語が堪能なのか。

青木正兒 と『もやしもん 』

前回の日記、あの広告を見て、K氏が「あの居丈高さにムッとした」ということだった。一度そんな広告を書いてみたいと思っていたので、その反応に大喜び。とはいえ、同じ様な感想を持たれた方に、一応頭を下げておきます「ごめん」。 で、早速、記憶のアヤフ…

売れないとは云っても 『黒死館逍遙』行商宣言

素天堂の個人誌『黒死館逍遙』。現在六冊刊行中。うち創刊号は売り切れ、二号もあと数冊を余すのみになった。売れてないのが、黒死館とヴァン・ダイン『グリーン家』『僧正』、バーナビー・ロス『Yの悲劇』を照合、分析した三号である。素天堂的には、今ま…

新生堂 奥村書店は盛業中

5年ぶりに平日昼に銀座をブラブラすることが出来た。で、寄ったところは奥村書店だ。 この前の本屋さん談義では意識して触れなかったお店だった。素天堂にとってはそれだけ特別の本屋さんなのだ。 松屋裏のお兄さんのお店は既に取り壊しが始まってしまった…

古い友人が所蔵の書影を送ってくれた

揉紙にくるまれた恠異帖のはなし

いかな素天堂とは云え、日夏を語るのに『サバト恠異帖』を、持ってくるのは如何なものかと思う。とはいえ、詩集といえば、新潮文庫、河出文庫でしか持ってなかったし、角川文庫版の日夏訳『サロメ』(七〇年代の後半、五〇円でも格安だった)を買ったために…

いつもその人の日記を心待ちにしていた。 日々、刻々の肉声では見えてこないその人の謎が、秘められていたから。 会話ではふくよかなヴェールで覆い隠される、たった皮一枚の内側がいつもコッソリと、だけども、しっかりと現れていたから。知り合った最初か…

砧の狸 夜桜の下で松山さんを囲む

友人のお誘いで、砧公園のお花見に参加。事情で二時間ほど遅れて到着はしたけれども、楽しい時間を過ごせました。本当に人が埋まっていそうな大木の下での観桜会は充実していましたが、既にヤミ鍋と化したつまみを頂きながら写真も数枚撮ったつもりだったの…

花、華、はな 〈春〉の大バーゲン ご近所周遊

色々あった職場環境の激変もやっと落ちついたので、出勤途中での周辺散歩などと洒落てみた。桜こそまだつぼみだが、ご覧の通り、花盛りである。 このあたりは、二十三区ではあるが、やっぱり、隅田川の向こう岸とは微妙にトーンが違う。小さな町工場や、軒の…

〈Ultimate Ideal〉Reading Method of this Book

まず足穂を読むといえば、ちゃぶ台か、木製のミカン箱でなければならない、かもしれない。 しかしそれでは足穂の制作の秘密に付きすぎてしまう。百歩譲って、マホガニーか黒檀の、そうだなあ、1800×1000ミリくらいのドッシリとした机が欲しい。さらに高い木…

月を撮る 亀を撮る

浮世の風を避けながら、斜に構えて世を渡る。 ノラリクラリが信条の素天堂なのだが、外から襲ってくる環境の激変が、そうも言ってられない状態を作り出してくる。 逃げてばかりはいられないから、信条に反する行動をとらざるを得ないと、いくら素天堂でもス…

徘徊録がとんでもないことに!

昔のネタでお茶を濁そうなんて考えているとこんな事に。 黒死館をウィーン日記が乗っ取ってしまった。アップロードの方法を間違えたらしい。通販のページも消えてしまった。取りあえず期間限定の再録です。 ここです、覗いてみてください。

発作的ウィーン回想〈拾遺編〉

そもそもの始まりは、「丸善」で見かけたイタリア語版の画集だった。Parmigianinoという絵描きさんに取りつかれて数十年。僅かな資料を細々と手元に引き寄せてきた素天堂にとっては、まことに貴重な資料にすぎず、よもやそれが、マニエリスムを代表するイタ…

乱歩はその時、散歩のつもり。

思わぬ方向へ、前回の日記は行ってしまったが、実は書こうと思ったのはこれ『一九三四年冬 乱歩』の感想だった。集英社のPR誌『青春と読書』に連載されていた、久世光彦『乱歩は散歩』が刊行時に改題されたもので、それまで愛読していた同誌の掲載の中でも…

素天堂式書肆交際法

本が好きなら、誰でもそうだと思うが、本屋さんと付きあわなければならない。嫌でもできてしまうのが、行きつけの本屋さんだろう。偉そうな標題だが、それに尽きる。中学時代の南武線溝ノ口駅前マーケットにあった「文教堂」の暗い店内での毎月の『SFマガ…

shirokane漫遊記

気になっていた庭園美術館の展示と、開店したB×O×の白金店を目標に最近縁のない、白金近辺を一回りしてきました。肌寒いけど天気は良好で、散歩日和。K氏の出入りする、某大学医学部付属施設を覗き、一般展示を参観する。重々しい旧名「傳研」の歴史を、…