『黒死館』語彙もあった 「レオナルド・ダ・ヴィンチ展−天才の肖像」

画面の上の奇妙な瑕瑾に引きずられて、思わず長い話になってしまったが、もちろん展観はそればかりではなかった。今回は出展もとがミラノの「アンブロジアナ図書館」という特殊な施設だったので、普段の美術展ではお目にかかれない展示物も多数出品されてい…

なんとサライに逢えるとは 印象「レオナルド・ダ・ヴィンチ展−天才の肖像」

今年の初め、篠田真由美さんの『ホテル・メランコリア』で登場する一人物をレオナルドに生涯連れ添った「性悪の美少年」ジャコモ=サライに例えたものだった。 ロシア世紀末の作家メレジュコフスキーの伝記小説『神々の復活』に登場し、塚本邦雄の『獅子流離…

一角獣の戸惑い、または大きな美術品の驚き

こんな弱小blogには珍しく、リンクが三十件となっている。それが『貴婦人と一角獣展」の感想だと言う事。自分も感じているのでわかるのだが、きっと観にいった人たちの大多数が会場を出るときに持って出るのは、大きな戸惑いと違和感なのだろう。 縁もゆかり…

中世世界に浸る「貴婦人と一角獣」展

「シュルレアリスム展」以来、二度目の「国立新美術館」へ。今回は打って変わって、フランスはパリ中世美術館の至宝タペストリ「貴婦人と一角獣」に逢いに来た。 会場入室してすぐにその驚異は観客に覆い被さってくる。大きな楕円形の壁全面に広げられた全長…

勉強嫌いは今でも

薔薇十字社とその軌跡 (出版人に聞く)作者: 内藤三津子出版社/メーカー: 論創社発売日: 2013/03メディア: 単行本 クリック: 24回この商品を含むブログ (6件) を見る物心ついて以来、好きな本だけ読んで、好きなものだけ見てきた。最低限の生活に伴う社会行動…

パ、パロヒアル寺院だ

最近の浮き世離れした作業の間、嵌まっているのが、youtubeでの動画ザッピングなのだが、その中でなんとむかし、必死で探したことのある黒死館画像にぶつかった。 その動画はなんとナチズムに潜むオカルト思想を解剖した作品だった。“Nazis - The Occult Con…

謎の『西洋美術史』再説

弥生美術館から一週間もたってしまった。その間何もないどころか、いろいろありすぎて何を書いていいか分からなかったといっていい。連休半ばには町田市立国際版画美術館「空想の建築 −ピラネージから野又穫へ−展」へ出かけ、美術館脇のドイツ・オーストリア…

大正の小さな夢から 弥生美術館

前日の千駄木に続いて、今日も千代田線根津で下車。一軒新しい本屋さんを覗いてから、目的の美術館へ静かな住宅地を通り抜ける。いつもは上から降りる感じなので、若干不安だったけれども表通りへ出てみるとちょうど夢二美術館の看板に当たる。弥生美術館で…

一箱古本市出展 目録

四月二十七日(土)第十五回不忍ブックストリート一箱古本市に出展いたします。 今回の大家さんは、「特別養護老人ホーム谷中」です。今回も新旧、硬軟こき混ぜて、必死の思いで選択いたしました。 そんな出展目録は以下の通りでございます。 ★文庫★淫獣の幻…

一箱古本市 LIBRE TONSURE 御来店ありがとうございました

お陰さまで、沢山のお買い上げを頂きました。 これを励みに来年も参加させて頂きたいと思います。 スタッフの皆様、同じグループの店主の皆様、ありがとうございました。

一段落 ちょっと内輪のことですが

昨年初冬から始めていた某氏邸の片付け、箱詰め作業。年が変わってからも数人で地道に続けていたが、なんとか今月四日には終了した。 平行していろいろ模索されてきた撤収先も、関係者諸氏の尽力で関東圏内にまとめて納められる場所を決めて頂けた。 それに…

お久しぶりの南部古書会館 第三十四回本の散歩展から

大阪の荷も解いていないのに、今日は五反田へ出張。どうしても気になる出展品があったので。日記を調べてみたらほぼ二年ぶりのことだったが、やっぱり、南部ガレージの底力、またもや十冊近くが手に貼り付いてきた。 中世関係の資料、メレジュコフスキーの『…

第十六回文学フリマin大阪(中百舌鳥)大盛況

二日間の大阪古本、近代建築巡りをすませて、いよいよメインテーマの堺市産業振興センター「文学フリマin大阪」である。買い込んだ古書をまとめて発送し、地下鉄で中百舌鳥へ向かう。地下鉄を出ると思ったより近くに会場があって、早めのサークル開場だった…

『馬のくしゃみ』とちょい寒の大阪 まずは古本行脚から

「歌舞伎そば」の愚痴からはや1週間。その間にいろいろなことがあった。 意外な発見に驚いた英文学者金子健二の著作で参照先だった『馬のくしゃみ』がなんとヤフオクで出品されていて、なんの競争もなく落札出来てしまった。 どんな英文学エッセイかと思っ…

新しい歌舞伎座から歌舞伎蕎麦が消えた件

明け方の雨が上がって、日も射してきた。と言うことで、ご無沙汰の銀座奥村書店を訪問することにした。月が変わって喧しい新・歌舞伎座周辺も気になっていた。 そこへ行くのに使うのは錦糸町発、森下、人形町、日本橋兜町と経由する「築地駅」行きという、お…

『北歐の海賊と英國文明』金子健二 研究社出版 1927年

先日某P氏と、某所の帰り、某イタトマで雑談の際、持ちかけた疑問。どうして、十八世紀英国という特殊な場所で忽然と〈ゴシック・ロマンス〉という、文学上の鬼っ子が出現したのか。欧州の西北、ポツンと浮かんだ離れ島に持ち上がった、中世への先祖返りが何…

こんな情報が

アマゾンのラインナップに、ファイロ・ヴァンスのシリーズがあるとご教示頂いたが、絵で見ておおよそ見当のつく「グリーン家」と違い、台詞が重要な要素の「僧正」は、字幕無しはきついなあ。当然「カナリア」と「グリーン家」のパラマウント制作分入ってな…

「グリーン家の惨劇」1929日本公開 初見

名前だけは知っていたヴァン・ダイン作品の映画化版。 The Greene Murder Case 1929: http://youtu.be/q7EgaC1DV64 @youtube 内容はともかく、グリーン家の佇まいだけでも見ておきたかったのだが、それがやっと叶った訳である。また、平林初之輔訳の邦題が『…

桜・アエリータ・ピアノ

いつものように重い素天堂の尻をK氏に持ち上げてもらって、二度目のUPLINK、ロシアン・カルト特集上映へ。 整理券を受け取って、時間つぶしに代々木公園で花見。曇り気味ながら暖かいお彼岸の日で、桜の木の下は死体ならぬ酔漢で埋まっている。急な開花で高…

えびすにたぬき

久しぶりにK氏が出掛けているので、ちょっと集中的に内職をしていた。十一時過ぎ一段落ついたので酒を出し、twitterを始めるとこんな記事がTLに転載されていた。 おしゃれな地域のお洒落な場所に現れたたぬき氏に一人大笑いしていると、K氏が帰宅したので早…

発見 奥村書店の昔話

リンク先を確認していると、こんな新しいリンクを発見。銀座の古書店、新生堂奥村書店さんの紹介。言及したいくつかのブログ記事の中にこんな記事があった。「夜店から始まった銀座の古本屋」1940年代銀座の貴重な証言である。

寝ていた蛙が起きるとき

三月半ばの夏日とやら、寒暖の激しい、妙な陽気が当地の亜熱帯化を告げる頃、別な虫が動きだす。 あの本この本をチラ見しながら、モゾモゾ蠢いていたあの虫だ。「あんなに辛い思いをまたしたいの」ということばを、苦笑いで受けつつ、また、「あんなに辛い思…

ルマ・カラーインクと日本画顔料の魔術  桃苗さんとリュリュのこと

お隣町森下にある文化センター「田河水泡・のらくろ館」で開催中の、「おおやちきの世界展」 関連イヴェント「『りぼん』と『ぶ〜け』とその時代〜超絶美麗な少女マンガたち」と題した松苗あけみさんをメインに、藤本由香里さんの進行によるトークショーを聴…

パスティーシュの妙に酔う

特集「シャーロック」とそのライヴァルたち。全編読了。 北原尚彦「ジョン、全裸連盟へ行く」、読み進めるも、一切のクスグリもなく、聖典(この場合はBBCドラマ)準拠の体で粛々と語られる物語は、たまに聖典が顔を出すにしても、一切笑いを起こさせる要素…

今月の赤い鰯 ホームズかシャーロックか

ここのところ、新刊書店に縁がなくなって久しいのだけれど、昨日、久しぶりに渋谷の大きい本屋を三軒ハシゴした(と書いたところで大盛堂にいってなかったのを思いだした。少年期の自分にはあそこは、聖地だったのに)。世田谷からの東急バスの終点、渋谷駅…

某氏と引き分け

持っている本が同じ版かどうかの、ゲームをオスカー・パニッツァでやった。到着も早々に鞄から取り出したのはまさしく、復刻された一九九一年版のもので引き分け。購入金額で辛うじて、素天堂が勝ちました。五時間を越えるコンクラーヴェは、突如炸裂した店…

神戸で満喫したのは美しいモダン建築ばかりではなかった。

訪問のたびに、いつも楽しみにしているのは、K氏が案内してくれる、東京とは違った個性の周辺の古本屋さん巡りだ。今回は初めて一人旅を経験したが、それもやっぱり古本がらみになっていた。 初日の大阪では、阪急古書の街で南江二郎の『人形劇の研究』。ゴ…

チョイ古建築神戸逍遙02

三日目、十一日は、やっと朝からK氏と統一行動。今日は目標があった。 まず、須磨寺へ向かい、K氏の実家の墓参へ。関東に住む東夷には思いもつかぬ歴史の重みを感じながら境内の墓地へ伺い墓石を掃除、内心の気がかりの一つをここで晴らす。境内の裏から須磨…

チョイ古神戸逍遙01

K氏がお父さんの法事に帰郷するということで、相乗りして三連休がらみで神戸近辺の未見の洋館と古書店巡りを敢行してきた。 まず初日九日は、「阪急梅田古書の街」初体験。十軒あまりの個性的な古本屋さんが集まった本好きにはたまらない施設だが、入り口の…

森川町の裏道で。「東日本大震災に学ぶ〈2〉」in 求道会館

サイレント映画の伴奏で活躍されるピアニスト柳下美恵さんの告知からだという、最近古い映画に嵌まっているK氏のTLで知ったこのイヴェント。勤務事情で参加できない、K氏の代わりに参加してきました。内容はともかく、関西建築界の巨人武田五一、初期の設計…