2006-01-01から1年間の記事一覧
和田信二郎著 明治書院 昭和二十五年一月刊本当に、こんな本を読んでる場合ではないんだが。しかも感想を日記で上げる時間がどこにある、状態なのだが、しかし、これは凄い。「言語遊戯の系譜」「ことば遊び辞典」の大先駆。本邦古文献から漢籍、西洋の広告…
二人して煮詰まりかけた日曜日の夕方。久しぶりにそこいら辺を歩きたくなって、絹太氏に声をかけて表へ出た。家の前はいつでも曇り空みたいに日差しの少ない狭い路地なのだけれど、一歩外へ出ると、大きな公園と運河があるので南西に向かって思い切り大きな…
誰も知らなかったり、新しい発見があったりするのを書くことは楽しい。 ほーらね。すごいだろう。といえる快感がたまらなかったりする。 だけど、周知のこと、だれでも口にすることを、殊更に構成しなければならない作業は、快感より苦痛だ。ましてその内容…
皇帝円舞曲【字幕版】 [VHS] ビリー・ワイルダーの初期のカラー作品「皇帝円舞曲」を絹太氏がとっておいてくれたのをみていて、あ、これは戦争前の傑作オペレッタ「会議は踊る」へのワイルダーなりのオマージュなんだと思った。勿論フランツ・ヨゼフ皇帝がア…
息抜き、といっても、いつも息抜きばっかりじゃあないかといわれそうだが、ここのところのちょっと重い読書から離れてみたくなって、この本を手に取った。この作品には殺人もないし、探偵役による謎解きもない。しかし、冒頭の幻のピアニストによる突然のC…
松山さんのお手伝いを始めた頃、虫太郎の娘さんと会える機会ができたと告げられました。別世界のことのように思っていたので、それほど感激もせずにその機会にご一緒することになったのです。いつもいっている通り、虫太郎に関して、伝記的な問題にはあまり…
「屋根の上の牡牛の時代」モーリス・サックス岩崎力訳1994/3リブロポート刊 “繁栄の時代の若いブルジョワの日記”と副題されたこの本を読み終わって、すぐの頃、或る酒場でこの本の話を始めたところ、「ああ、あの本はウソばっかりです」と切り捨てられて、そ…
英国における“王政復古”という、われわれにとってもう一つわかりにくい事象の代表的な概念のなか、エリザベス朝ルネサンスとヴィクトリア朝の間の長い、世界史的にも低調な、期間に登場した不思議な人物たちに関する評伝。 ペストの荒れ狂う、みのりのない戦…
新保 博久著 冬樹社1989.8刊吉祥寺、井の頭公園の入り口あたりにこんなお店があったら、冷やかしがてら店内を散歩して、結局思わぬ散財をしてしまうだろう。何とも品揃えの素敵な、夢の百貨店である。「ペットショップ」から、「ハウジングセンター」まで(…
第三号の発行に向けて、すこしずつ、先人の足跡を辿っています。ヴァン・ダインという不思議な存在が、「黒死館殺人事件」という稀有な存在にとって、どんな影響を与えていたのかを具体的にみなさんにお見せできたらと思っています。
所用で外出したJR大宮駅のキヨスクで見かけて、思わず発作的に買ってしまった一冊。最後まで購読していた「ヤング・ユー」も買わなくなって(買っても二ヶ月そのままだったりしたので)、今ほぼ現役で購入しているのは単行本の「パタリロ」だけ、になって…
四期にわけられる新潮文庫の中で、第三期が戦中まで永らえたのと比べ短命だった大型本シリーズの一冊。一年半で十九冊。その大半は日本現代文学で、海外物はモオラン・大学の「夜…」と「戀の歐羅巴」の二冊のみ。この頃の若い文学への影響を考えるといかにも…
http://d.hatena.ne.jp/sutendo/20051015に書いた惨事以来懸案だった自室と居間に置く書棚が、絹太氏の注文で昨日届いた。半日かけてその組み立てに汗を流し、床に拡がる段ボール詰めの本を片づけ、緊急避難的に新しい書棚に納めた。量は減ったとはいっても…
勿論この作品を読むのに、「僧正」も「本陣」も読んでいる必要はない、まして「Yの悲劇」はなおさらだ。知識としては金田一の行動や、ファイロ・ヴァンスのあれこれに対する知識は、ある程度あってもいいかもしれないが、それがなくても、独立作品として楽…
謎の蔵書票作者: ロスキング,Ross King,田村義進出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2000/04メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見るしばらく前に手に取っていながら、埋もれてしまっていたこの本が、いつの間にか姿を現したので読…
最晩年、しかも映画とのタイアップで書かれた作品とあって、評価も芳しくない(素天堂も巻末のファイロ・ヴァンス伝がついていなければ買っていなかったかもしれない)が、この機会に読んでみて、じつは不思議な魅力に引き込まれた。 グレイシー・アレンとい…
多分結構前から、素天堂はすれっからしの探偵小説読みだったから、古書価のついた古くさい怪盗ものなんか、という気持があったのだと思う。探そうと思ったこともなかったから、この本とは今度が始めての出会いだった。改造社版といえば「メトロポリス」だっ…
普段はあんまり、あそこで何を買ったとか、今日何を買ったなどと言い散らすことのない素天堂だが、今回は口の脇の痙攣が「言え、言え」と強制するので、神戸巡りとは別に買い物日記をアップすることにした。例によって、ミステリとも、幻想とも関係のないも…
神戸滞在三日目。さすがに絹太氏に疲労の色は隠せず、ゆっくり目に活動開始。サービスの朝飯ものんびりとって、チェックオフした今日までの収穫を、実家に預かっていただく。海岸通を廻って古いビルを覗いたりして、大回りで「兵庫県公館」へ向かう。昨日の…
総大理石貼りが見事なジャイナ教の「バグワン・マハビール・スワミ・ジェイン寺院」や、古い家の造作が残る「山下タバコ店」を通り、着色鏝絵の傑作「浄福寺」を発見しながら、去年見付けた「華僑総会」裏にでる。 表通りにでれば「シューエケ邸」はすぐなの…
前回の訪問は、絹太氏のイヴェントのお付き合いということもあって、大阪が宿だったりして、日にちが十分とれなくて残念だったのだけれど、今回は滞在を神戸に絞っているので、去年は路上を走るのを見ただけだった、観光用のルートバスの始発に、最初から座…
十一時過ぎに新神戸着。 地下鉄へ乗り継いで、三宮へ。チェックインとしては時間は早いのだがとりあえず、今回の宿泊先へ荷物を預けた。 朝早かったので、まず食事ということにして、歩き始めると、三宮駅へ向かう途中で、小さなうどん屋さんが目にとまった…
先週の半ば、絹太氏の脱稿ご苦労会を、彼女お気に入りの居酒屋で。 その店の場所は家からはちょっと離れているのだが、隣が、彼女が引っ越してきてすぐに開発した、魅力的な本屋さんの一軒なので、そこで毎回待ち合わせになる。店頭の放出本が侮れないので、…
いまでは、だれも彼の翔ぶところを見たこともないのに、かれはその伝説の中で永遠に翔び続ける。 だから、作者はかれの躯を、究極のイメージとして三次元のヴァーチャル空間、さらに彼を思うすべての人の脳髄の中に閉じこめようとする。そうしなければ、どれ…
今回からは土曜勤務になってしまい、定時到着が危ぶまれたが早退を許可して貰ったので何とか四時過ぎには到着できた。道々の古本屋を冷やかしもできないのが切なかったが、この回で初めて即売コーナー参加を無理矢理お願いしていたので、何とかそれに間に合…
前に書いた「アイヴィー・リーグ ルネサンス対決」で宿題になっていた「ダ・ヴィンチ・コード」文庫でやっと読んだ。読んでビックリ、主人公はハーバードの先生だったのだ。 西洋史の裏の“オカルティックな潮流”を題材にした冒険小説といえば、エーコの「フ…
デザインについてもうちょっと考えなさいといわれていた。でも面倒くさいし、読めればと思っていたのだが、最近始めた人でも、いろいろサイドメニューができているので、はじめてデザイン変更に挑戦しました。といっても、はてなの見本から選んだだけですが…
芦辺拓氏の懇切なる慫慂で、夢の虫太郎原稿を拝謁できました。本来ならばすぐにでも、そのお礼かたがた、感想を書かなければならなかったのですが、数十年間追い続けた「黒死館殺人事件」の生原稿を、直接手にとり、虫太郎本人の筆跡をたどれるという、夢の…
気球の歴史 コットレル 西山浅次朗訳 大陸書房1977 風船学入門 磯貝浩 松島駿二郎 カラー新書09 平凡社1975 月初、久しぶりに絹太氏と古本探訪に出かけた。その最初の店でこの二冊を見かけたので、思わず飛びつきました。素天堂は妙なメカ・マニアで自分では…
古くさい言い方でいう、“宣伝美術”が好きでした。町のあちこちに貼られたポスターや、新聞雑誌の広告は、素敵な生活を夢みるビンボー中学生にとっては、もう一つの世界への招待状でもありました。図案家がデザイナーと横文字で呼ばれ、東京オリンピックの四…