2005-01-01から1年間の記事一覧

コミケと鴨のある1日

14日朝5時、大太鼓の音とそれに怒る犬の遠吠えで目が覚めた。まだ昨日の余韻が残っているのだが、二日酔いほどではなかった。ネットを起こすと牧人氏の日記と芦辺氏の日記がもう書き込まれている。大慌てでもないが、早速ご報告をと思うがちょっとグズグ…

かけ出しオペレータの記 「最後の審判の巨匠」ファンブック表紙顛末

なまじっか旧職場で、「イラストレーター」などという悪魔のソフトに触っていたことを、口走ってしまったのが地獄の釜の蓋開けであった。 「じゃあ、今度表紙を造ってみてくれる?」という甘い言葉に、「どうせ素人さんの遊びのつきあいなんだから」と二つ返…

歴史を眼で見る ということ 

「中世の秋」J.ホイジンガ 堀越孝一訳 中公文庫 中世の秋〈1〉 (中公クラシックス) 中世の秋〈2〉 (中公クラシックス) 「世界の名著」「単行本」と手元に置きながら、敬遠していたこの本をやっと読了することができた。 ここに書かれている、視覚本意による…

「建築」という雑誌 毛綱モン太(毛綱毅曠)を中心に

最近、建築のことでお話しできる相手が出来て、思い出した人がいる。今回も死児の齢を数えることになるのだが、どうかご勘弁いただきたい。きっかけはちょっと前に書いた「YELLOW BOOK」の時だった。その頃の手帳に挟まれた何枚かのメモがその頃の探求誌を思…

文字の迷路 文字の闇

演目:『太素』の俗字と誤字 日本内経医学会 左合昌美/異体字とはなんぞや 日本内経医学会 宮川浩也 ☆中医古籍異位字与『内経』研究 南京中医薬大学 沈 澍農教授 ◎質疑応答 他 於 東京医科歯科大学臨床講堂Ⅰ 7月31日(日)午後2時〜5時 自分たちは、文…

着々と 黒死館逍遙 第一巻

初回コミケ限定と言うことで、はがき大別刷り図版二点を30部用意しました。初売りは前回の告知通り、プヒプヒさんのブースです。みなさんに喜んでいただけるとうれしいのですが。通販に関しては、まだ固まっておりませんが、コミケと同時発送を目指してお…

黒死館逍遙 第一巻 素天堂文庫

というわけで、夏コミに向けて編集した「素天堂文庫」第1冊目が、もう出来上がってきました。B6版、総ページ数74p。縮小倍率の関係で本文級数が大きくて字詰めがきつかったり、いろいろ見ていると最初のものだけにあちこち短所も目に付き、内容に関して…

久しぶりに国立博物館へ行ってきました。

3連休の中日と言うことで、通常展観だというのに結構な人出。最後にきてからもう2年程たつが、展示物の密度がどんどん希薄になっている。大昔の、窓におおいもなく、展示品なのか、所蔵品の倉庫なのかわからないあの状況がよかったとは思いませんが、なん…

寝ぼけ署長 山本周五郎 同小説全集別巻3 新潮社1970

中学生時代、山手樹一郎の「十六文からす堂」シリーズを読み倒して以来、時代物と縁のなかった素天堂にはこの作家は一番遠い存在だった。題名から見ても捕物帖的人情噺のにおいがして、敬遠していたこの作品。実は所収のアクション小説「失恋第五番」「失恋…

赤狼城秘譚・失踪夫人 J.-H.ロスニイ兄 藤田龍郎譯 1931改造社版 世界大衆文學全集 第79巻

久しぶりに“なんだかいろいろ宿題をかたづける”状態だったので、読了本が少したまってしまった。そのおさらいの一環として、今回取り上げるのが、J.-H.ロスニイ(J.H.ロニイ)兄 のこの作品。この全集にはハルボウ「メトロポリス」や岡本綺堂による怪談アン…

「彼方より」の呪縛 幻の母への慟哭  ISBN:4309017150

つい最近、入手できた深夜叢書版「彼方より」を読み返したところだった。出版当時、素天堂自身は深夜叢書版を買えるはずもなく、持っていたのは後から出た潮出版社版だった。まず「中井英夫」の名前を知ったのは三一書房版作品集の出版予告パンフレットだっ…

さて、ご同行の方々と“蔵之助”の店内へ。付 ちょっと二次会

入り口に陣取る石井春生さんにまず、会費を支払う。とりあえず奥の席へといったところで、向かいは末永昭二さん、お隣が中相作さん斜め向かいの若い方が本日の主賓の一人本多さん(勿論、後の自己紹介で名前が分かったのですが)。というより周囲の方々すべ…

far away to 蔵之助in ikebukuro久しぶりに、内容の濃い土曜日だった。

前日がフクさんの歓迎オフatですぺら。めちゃくちゃ楽しい中、振り切るようにやっとの思いで帰って、朝、二日酔いを騙し騙しK君と渋谷へ。Bunkamuraで約束だった「レオノール・フィニ展」を見る。実は素天堂、フィニの現物は初めて。若桑みどりさんの快著「…

ある訃報 サイトの死

大切な同士だと思っていたあるサイトが突然閉鎖されてしまった。しかも運営上収集されていた資料等もすべて、手放したとおっしゃる。貴重なものも多数お持ちだったのに。 サイトの運営が、個人の興味の延長で行われるのは当然のことだし、そのテーマがコアで…

死児の齢ultimate 回顧談-世紀末編

長い間、古本とつきあっていると、誰でもまさかというような出会いがあるものだ。 勿論前の回で駆け足で書いた、正進堂書店のように何時いっても自分にとって相性のよいすてきな本屋さんもあるが、不思議な出会いで思わぬお宝に出くわすこともある。死児の齢…

Musical Baton

ぷひぷひさんからまわってきました。 自分の分はこれで終わりです。遊び心がなくてすみません。 ♣ Total volume of music files on my computer:(今コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量) ○ 不明 ♦ Song playing right now:(今聞いている曲) ○なし …

LE REVE 正進堂 〈忘れられない本たち〉

渋谷 宮益坂 喫茶店トップ(ここでは青山通り沿いのある本屋さんで〈トンデモナイ値段で〉 買った「the YELLOW BOOK」13冊揃を、席に着く間も惜しく開いて点検したこともあった、コーヒーはもちろん、サーディントーストがおいしい店)を通り過ぎた道路の…

これはアンチ(料理)ミステリーか? 最後の晩餐の作り方 ジョン・ランチェスター 小梨直訳 新潮社クレストブックス 2001.03刊 ISBN:4105900226 

偏屈な趣味人が料理に絡んで自らの過去を振り返る。料理に関しても、家族との追憶話にしても、どの方面にしろ饒舌が鼻につくが、我慢できないほどではないな。そんな印象で読みはじめた第1節の終節。何となく今の着衣の説明がわざとらしいと思ったら、《大…

Le Reve 夢・幻の本と街

東京急行電鉄 東横線 渋谷駅東急東横店口の改札を出て、東急文化会館へ通ずる連絡橋をわたる。足元は都営バスのターミナル、大昔は都心へ向かう都電の始発停留所だったところ。渋谷は川崎市中部に育った素天堂にとっては、自由が丘に次ぐ都会だった。天井の…

ヤマネコさつじん事件 舟崎克彦 佐々木マキ表紙・さしえ みんなのライブラリー 5 金の星社1989初/19906刷 ISBN:4323016859

MYSCON6の特別企画児童ミステリ紹介で気になっていた本の1冊。素天堂はジュブナイルだからと言って、軽視はしないし、作品によっては一般の作品より高く評価するものさえあった。だから、あの深夜企画はとても嬉しかったのだが、あの分量に圧倒されたのは…

実録版 淺草紅團 雑誌「變態心理」 日誌欄より

浅草という街は、良くも悪しくも当時の近代東京の最先端だった。モダン都市のイメージが素天堂は大好きなので、それを題材にした小説をよく読みます。スーポーの「モンパリ変奏曲」や川端康成の「淺草紅團」はその筆頭かもしれません。もちろん、初期乱歩の…

毛の生えたコーヒーカップとある画廊の想い出。

最近、このダイアリーの裏ページ(編集)で、リンク元をチェックするのにはまっています。自分が考えもしない組み合わせで検索されて、それが何故か当ページが筆頭にあったりすると、なんとも複雑な感じがする。とともに、思わぬ拾いもののページにあたったり…

映画の世界史 / ロ・ズカ 著 ; 永戸俊雄譯 文庫クセジュ 004 白水社 1951.11

連休最後の日は、上野。先月時間がなくて、じっくり見られなかった上野駅公園口の古書市へ。こどもの日を上野、御徒町あたりで過ごそうという人混みをかいくぐり、さらに「クレヨンしんちゃん」の入場待ちでいっぱいの子供達の列を、申し訳なさげにかき分け…

エトルリアの遺跡 D.H.ロレンス著 土方定一・杉浦勝郎訳 '73 美術出版社刊 

エトルリア美術に関する本が気になっていた。原因はマンディアルグの「ボマルツォの怪物」。これは、素天堂の黒死館逍遙(エッセイ)三、庭園散策で取り上げたポーとムヒカ・ライネス「ボマルツォ公の回想」と共に重要な参照文献だった。 その中でボマルツォ庭…

五反田 奇妙な町の感傷的逍遙

先日、薄い縁にもかかわらず、ある方の訃報に接して桐ヶ谷の斎場へでかけた。 都営地下鉄の五反田駅を出て、国道1号線(第2京浜とはもう誰も呼ばないのだろうか)を戸越方面へダラダラ坂を登ってゆく。いくつかの交差点と無骨な高速道路のガードを越えて10…

上野公園は久し振り

お誘いをうけたので、ある方の主催するお花見オフに参加。素天堂にしては珍しい2週続いてのイヴェントである。場所が上野なので不忍池の方も見たいとK君と早めに家を出る。大江戸線上野御徒町で降りて、湯島側にでる。広小路裏の怪しい区画を通りすぎて(…

MYSCON6 素天堂の独断レポート最終回

熱気ムンムン、参加者ぎっしりの洋もの企画部屋をあとにして、次は、児童向けミステリ企画の部屋へ移動するが、まだ読書会が終わっていない。ネタバレありの恐怖の読書会なので、途中で入るわけにもいかないので、廊下で待機。2,3分で拍手が聞こえる。お…

MYSCON6 素天堂の独断レポート#2

というわけで、なんだか不十分なまま、全体企画時間切れとなる。でも、こんな形で自分の持っているモノを整理して、再構成出来るというのはやっぱり面白い作業なので、また、お願いします。でも、受けがねらえたり、納得してもらえる結果を生むような、気の…

MYSCON6 素天堂の独断レポート#1

今年もMYSCON、今回で4回目の参加。素天堂にとってはもう必須の年中行事になってしまいました。スタッフをはじめ、ご参加の皆様、いつも有難うございます。 今年から、自分の環境も変わって新たな気分で望むことにして、昨日から準備していた、洋画関係の資…

「最後の審判の巨匠」 レオ・ペルッツ 垂野創一郎譯  ISBN:4794927452

而もそれは、推理が決して論理を缺くようなことなく、記憶が私の身の上に起こる事柄の最も些細な細部をも逸することなくしてである。 「夢と人生」 G.ド ネルヴァル 佐藤正彰譯 奇妙に曖昧で、奇妙に明晰なこの作品のストーリーは、素天堂にとって、本来対…